アートとポルノの違いを低学年児童に説明するのに頭を使った話
低学年男子への性教育事情
うちの小2長男は、どこのご家庭でもそうであるように、しょっちゅうチンチンだとかオッパイだとか連呼して喜んでいる。その都度、周りの人が嫌な気分になるから止めようね、と諭す毎日だ。
今の子育て世代向けには、わりと性教育の情報やコツは周知されてて、幼児期から自分のプライベートゾーンを大切にしよう、他人のプライベートゾーンは勝手に見たり触ったりしてはいけない、ということを教えている人が多い。うちも何度も何度も言ってきた結果、プライベートゾーンは大事だよね!ということは十分理解してくれている。
突然やってくる街中のオッパイ
ある日の外出時、「おかーさん!あれオッパイ描いてあるよ〜!」とこっそり私に伝えてきた。みると何かの美術展のポスターで、アヴィニョンの娘たちみたいな、大人から見ると普通の絵画だ。
またある日、公園に設置されていた上半身裸の女性の銅像に、あれはいいの…?と疑問をぶつけてきた。
こういった芸術作品と、公共の場所で展示すべきではないポルノとは、一応法的には区別されている。
「徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反しない」ということらしいが、そういうふうに説明できればどんなに楽だろうか。
何とか低学年男子に理解できるように「君はあれを見てエッチで恥ずかしいな〜とは思わないよね?絵って何百年も昔から沢山描かれているけど、普段隠れているところを描くことで、飾らない本当の人間の姿を表現できる、ってお約束があるんだよ。見る人に伝わるよう一生懸命作ったものは、エッチで恥ずかしい感じはしないんだよ。そうじゃないエッチな絵は、街中に飾ったり、見たくないない人に無理矢理見せたらダメだよね。」というようなことを何とか説明した。そうだねえと納得した様子だった。
疑問は尽きない
しかし息子の疑問は尽きない。「でもさあ、女の人のおまたは絵にしちゃダメなんだよねえ…?」うーーん、これはどうなんだろう?女性器の絵はわいせつ物頒布罪とかの観点から、100%ダメとも言い切れるだけの知識がない。
とりあえず自分の知識の範囲内で説明しようと、スマホでダヴィデ像の画像を検索し、「これはおちんちんがついてるけど、有名な芸術作品だよ。悪者に立ち向かう若者の純粋さとかを表しているんじゃないかな。おちんちんやおまたの絵って普通はダメだけど、こういう風にオッケーな時もあるかもしれないね。」と結論づけ、ここで話は終わった。
性教育に困らないだけの情報はそろっている
赤ちゃんはどうして生まれるの?という疑問にどう答えるのかというのは定番の悩みだが、今どきはどう対応するのが望ましいかという情報は豊富なように思う。性的なことを聞かれても、露骨に嫌な顔をしない、科学的なことを成長段階に合わせて淡々と伝える、というのは大抵の専門家が言っていることだが、とても参考になっている。
一方で、命が生まれるって素晴らしいことなんだよ~!感動なんだよ~!という価値観をくっつけて説明するのは良くない、という人もいて、何か納得。上手く言語化できないけど、セットになると何だか心地悪い。
この本は読んでみたけど、納得のいく説明ばかりでおすすめ。
やっぱり自分と他人の人格尊重がゴールだと思う
生活していると、性的な情報が目に入ることはいくらでもある。大事なことは、性的な情報をむやみに遠ざけることではない。普段の人付き合いでは露骨な性的表現はしないというマナーを身に着けたり、相手の意志と人格を尊重しない性的行動は許されないこと、性的対象としての側面のみが強調された女の子のイラストは現実ではなく、現実の女の子は意思も人格も独立した尊重されるべき存在だ…というようなことを中学校卒業までには叩き込まないといけないと考えている。道は遠いなあ…と感じつつ、鬼滅の刃で甘露寺蜜璃ちゃんの登場シーンをちょっと嬉しそうに眺めている息子の姿に少し困ってしまう夏休みだった。
