だんドーン:第35話「吉野山の半次郎」感想―漫画だから好きになれるキャラクター

今回も太郎くん登場!

てっきり大久保家に引き取られて出番終了かと思ってたから嬉しいな。「命はとおとくていとおしい」「しっとじゃん」とか台詞の端々がひらがなで表現されているいて、子どもらしくもあり、語彙が増えていて成長ぶりがうかがえる。きっと仕事の合間には手習いなどする機会もあるのだろう。

父上が亡くなってしまった、ではなく「離れちょる」と表現する大久保妻の優しさにはじーんとする。

そんな健気な太郎くんがひどい目に遭わされている!それでも山くぐり衆のおねえさんが危ない目に遭わされると思うと自分に構わず逃げろと言う。何て優しいんだろう。犬丸は貧しい暮らしながら太郎を愛情こめて育ててきたんだなあ。満たされた子どもとして育ってきたんだね。

このおねえさん、半次郎と湯につかっているが、江戸時代は混浴が一般的だったとかいう知識がなくても、恋愛関係じゃないんだな、というのがよく伝わる。距離感描くのが上手いなあ。

それにしてもこの悪辣三人組、何人も暴行して骨盤骨折させてるとか、現代の感覚からすると悪のレベルが突き抜けている。被害に遭うようなマヌケは泣き寝入りがお似合いだとまで言い放つ。第一話でも、吞べえの女将さんが、私ら庶民は強姦されたって誰も犯人を捕まえてくれるわけじゃないと語っている。民を守る組織を創設するというゴールに向けて描写が一貫している。

そしてこの極悪人たちには半次郎にあっさり切り捨てられる末路が待っていた。しかしとんでもなく悪い奴とはいえ、何のためらいもなく、三択って多すぎだろと爆笑しながらサクサク斬っていく半次郎にはドン引きである。現実には出会いたくないが、漫画で表現されてるとキャラクターとして魅力的。

そしてとうとう川路と出会う。(これまでも芋=ビタミンB1持ってきてくれたり、月照様入水時にチームプレイしてくれたけど)二人の素直な心の声が笑えた。第一印象最悪な二人が友情を育み、そしてついには袂を分かつ、そういう展開大好き。

小松が言及していた江戸から帰ってきていない「頼りのあん人」って誰のことか全然わからなかった。歴史に詳しくないので、ここは今後の話を楽しみに待っておこう。